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どうやら世間では例の完全試合つぶしの采配の批評が真っ二つに分かれているようだ。賛成派と反対派。勝手に議論するのは結構だが、球団に電話をかけてまで批判する人の気が知れない。

落合監督は何か悪いことをしたのか。反則行為をしたのか。そんなことないのは自明である。勝つための采配をしたに過ぎない。
これがまだ、岩瀬ではなく、クルスや鈴木なら批判が出るのは分かる。シーズンでもしたことのない継投だからだ。だが切ったカードは「守護神岩瀬」。これまで何度も窮地をすくってきた、そして場数も踏んでいる球界最強のクローザーである。シーズンどおりの、勝つためにもっとも確実な方法を取ったに過ぎない。

プロ野球選手は夢を売る仕事、だとよく言われる。それは私も分かる。子供たちの将来の夢に野球選手が上位にあがるのは、まちがいなく選手たちが感動を与えているからだろう。でもそれが本来の目的なのか。夢を売って、お金はおまけみたいなものなのか。それは違うと思う。そうじゃなかったら、ここまで選手の年俸は上がらない。1億が当然の世界になってしまったのは、選手が要求してきたからだ。
シーズンオフには何人かの選手は絶対に契約更改でもめる。その理由はほぼ100%金銭面だ。
夢を売るのが仕事というのなら、このもめているのは批判の対象に当たらないだろうか。夢を売りたくてプロになったのなら、お金は二の次、子供たちにきれいな姿をみせたいのなら、お金についてしつこく言わない。そうなるはずである。
でも現実はそうでない。まずは仕事なのである。なにしろ選手たちには家族もいれば、引退後のことも考えなければならない。夢や感動は試合をやる過程で発生するものではないだろうか。

そして選手が本当にファン第一の考えをもっているのなら、メジャーリーグなんかに行かないはずである。なぜなら、そういうニュースが出るたびに、ファンが姿を見れなくなる、人気が下がるなどといったことが叫ばれるからだ。選手がファンのことを心から思うならば、その夢さえも断念するはずである。
でも野球選手も人間だ。一度しかない人生。メジャーリーグを夢見て野球をやってきた選手もいるだろう。本当のファンなら、選手のことを思えるのなら、選手の意思を最大限に尊重したい。

昨シーズンオフは、広島の黒田投手がFA移籍するかどうかで揺れていた。ファンは残留を願い、訴え続けた。その結果、黒田は翻意し広島に残ることになった。黒田とて広島が嫌いで出て行くのではない。自分の力を試したい、もっと高いところを目指したいと思うのは、野球選手として当然のことだから移籍を考えていたのである。それをファンが潰した。いくらなんでもあれだけ懇願されたら、そうそう自分の意思を貫けるものではない。
だが選手のことを思うなら、気持ちよく送り出してあげるのもいい選択肢なのではないだろうか。「いままでありがとう」。そんな気持ちで送り出してあげると逆にファンとしても選手としても気持ちのいいものになるはずではないだろうか。昨年の一連の流れを見てそう思った。


夢をつぶしたという批判はまちがってる。空気を読めないという批判派まちがってる。何よりも優先すべきは勝つこと、優勝すること。そのために監督はタクトを振るい、選手たちは満身創痍の体で戦っている。個人の記録も大事だと思うが、組織にいる以上優先べきはチーム。たとえそれが100年に一度出るか出ないかの記録でも、それで負けてしまっては本末転倒となろう。

今回は140何試合のうちの1試合ではない。舞台は日本シリーズ。厳しい戦いを勝ち抜いてきたものだけが立てる舞台。しかも1点差だった。この試合の負ければ、札幌ドームに持ち越されてしまう。このような状況下で、勝てる采配を振るわないほうがどうかしてる。

たしかに山井でも勝てる可能性は十分にあったと思う。ただしそれは後だから言えること。ホームランを打たれて同点にされていた可能性も同じくあるわけだ。
もし続投して負けていれば、その批判の矛先はやはりこの采配ということになる。内容は今回の批判とは正反対のもの。「なぜ岩瀬がいるのに出さなかった」ということだ。

完全試合をなしとげたらそれに越したことはない。だから落合監督も悩んだと思う。
マメがつぶれたとか、山井が辞退したとかいろいろいわれているが、あの時ベンチでどんなやり取りがあったのかは、たぶん知ることもない。
「苦渋の決断」だったのは間違いない。記録を狙うか、優勝を確実にするか。あとでこのような批判がでるのは落合監督も承知していたはずだ。続投させるのは簡単だが、監督はみずからの信念に基づき、厳しい決断をした。本当のファンなら、この苦渋の決断を尊重すべきではないだろうか。

一番あってはならないのは、監督が外圧に屈し、本来の力を出せないことだ。監督は現場の最高責任者。勝つために雇われ、その義務を負っている。ファンや協会が口出しをすることではない。ましてや圧力をかけるなんてもってのほかだ。


あの場面で代えない監督のほうが多いかもしれない。それは私も思うところである。だが落合監督は代えなかった。それが落合監督の選択。もうちょっと寛容な考えをもってもいいのではないだろうか。

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2007/12/14(金) 15:20 | URL | looop #-[ 編集]
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